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腐率低&懐古オタク仕様・なんでも専用。
コミケは色んな人が色んな思惑持って集まってくる色んな要素の集まった場所なんだよね

久しぶりになっがい読み辛いテキスト書きます。

夏コミ前に「同人誌が儲からないなんて嘘だ」というテキストが一部で話題になりました。

ゲームセンターに明日はあるの?:これで「儲からない」とかありえんだろ。 - livedoor Blog(ブログ)
ゲームセンターに明日はあるの?:「同人誌は儲からない幻想」っつーか大嘘をつき続けて自らの無謬性を保持しようとする連中は何なの? - livedoor Blog(ブログ)

で、これに対しての賛否色々がありまして。

外から見ているだけの人間の想像力の限界:同人誌が儲かるだって? - FANTA-G - 楽天ブログ(Blog)
「同人誌は儲からない」のウソ | Half Moon Diary

自腹を切れるか?の違い:未だに続く同人が儲かる、儲からない論争 - FANTA-G - 楽天ブログ(Blog)


で、夏コミ後にこんな話題が出て涙を誘ったところで

夏コミでたけど3部しか売れなかったんだぜ……。 - ゴールデンタイムズ(; ・`д・´)<


更にこちらの記事で「同人誌は儲かる」プラス「同人誌=キャラをパクったエロ漫画」と書かれたのがきっかけで再燃。

内外タイムス - 「ヲタク記者は見た!」同人誌ってそんなに儲かるの?



…この後に出たテキスト達が非常に興味深かったので、自分用のメモ兼ねてブクマ&自分なりの考えを纏めておこうかなと思いました。

以下、色々出尽くしたテキスト群。のごく一部。です。
(他にも同内容で語ったテキストあると思いますがチェック漏れですすみません)



コミケにありがちな誤解 - ビジネスから1000000光年
 コミケで頒布されてる本のうちエロ本なんて全体の3割だよ!という主張。独自のデータを参照していて参考になります。

みんなー!y_arim流詭弁の作法教えるよー!\(^o^)/ はてな匿名ダイアリー
 上に対しての反論。読んでてイライラするものの内容自体は興味深く面白いと思いました。上のデータにない別視点での意見があります。

「コミケにありがちな誤解」が誤解 - 萌え理論Blog
 こちらも「コミケにありがちな誤解」への反論。ただ、コミケでの話に書店売りやダウンロード販売の話まで混ぜるのはおかしいと思います。テキストとしては興味深く読みました。

こちらはこのテキストの後も色々語っていらっしゃいます。
なぜ『東方』は二次創作が流行したのか
なぜ『東方』の同人誌はエロが少ないのか?
同人市場の一般・成年向け比較
同人市場の一般・成年向け比較調査

興味のある方はどうぞー。



ここで真打登場。
同人誌1トンを刷った経緯と部数決定のプロセス - ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん
 物凄い具体的なマーケティングテキスト。1冊1kg1,000冊の同人誌を印刷するに至った経緯が詳細に書かれています。ただ闇雲に作るのは例え趣味であっても、趣味であるからこそやめた方がいい。全同人作家必読テキスト。



さて。…で、先に言っちゃうと
「今のコミケは色んな目的の人が参加しているから、"コミケとはこういうものだ!"というひとつの形で説明する事は出来ない。様々な要素を含んでいるのがコミケですとしか説明出来ない」んですよ。だからこんなに意見がバラバラになっちゃう。

エロ本が欲しい人はエロ本を売ってるエリアしか興味がない=エロ本以外を売ってるエリアは存在しないも同じ

だから「コミケはエロ本売ってる場所」になるんですよ。
他の目的の人も同じ。評論本目当ての人にとっては「コミケは評論本が沢山買える場所」だし、もっとマイナージャンルの本が欲しい人や、作っている人にとっては「唯一自分のジャンルでも本を買える&買って貰える場所」になります。(コレかなり切実な事なんです)
企業ブースで企業の限定グッズ目当ての人には「コミケは旬ジャンルのお宝限定グッズが買える場所」だからそもそも同人誌自体興味がなくコミケに来ておいて「コミケって何?」と素で思っているかもしれない。
コスプレイヤーにとって「コミケは世界で一番の晴れの舞台、自分の姿を見てもらえる場所」だから中には一切買い物をせずコスプレ広場にしか用事の無い人も多いでしょう。

現在コミケは東京ビッグサイトで開催されていて、ジャンルが違えばホールが違います。同日同会場で開催されているにも関わらず、実態は「複数ジャンルのイベントが同時開催されている」ような状態なのです。しかもそのひとつひとつの規模も大きい。
実際、私はここ数年コミケで西ホールに行っていません。そこにどんなジャンルが配置されているかも、カタログチェックしていないので知りません。中の人でもそんなモンなんです。
勿体無い?そうですよね私もそう思います。ですがあの広い会場で、自分でサークル参加していてホール跨いでスペースを見に行く事はかなり難しい環境なのです。売り子さんが居ても厳しい。


そんな「コミケ」というモンスターイベントの全体を把握しろ、というのは不可能です。
コミケスタッフですら全てを把握しているとは言えないかもしれません。(スタッフとして把握はしていても参加者としての視点での把握とはまた別だと思うからです)



で、現在マスコミで報道されている「コミケ」の姿は極一部でしかありません。
それを見て「ほほぅコミケとはエロ本を売ってて露出度の過激なコスプレが沢山集まるイベントなのか」と思ってしまっても仕方が無いというか…

自分の興味のある事にしか人間関心を示しませんから、そもそも
内外タイムス - 「ヲタク記者は見た!」同人誌ってそんなに儲かるの?

の記事を読む層を考えたらそりゃ女性向けのホモ本を無視して「エロ」「儲かる」がキーワードになっても仕方がないですよねーw…と思います。まぁ、実際にコミケ参加している同人作家さんとしては捨て置けない所があるのも判ります。
仕方がないですよねー、で放置していたら誤解だけが一人歩きしてしまいますし。(その結果が現状というのもありますし、声を上げる事は良い事だと思います)




で、この「儲かる」「エロ」って漫画同人界隈でずっと語られてる話題なんですよね。今に始まった事ではなく、それこそ10年20年前から。同人の稼ぎでマンション買った武勇伝なんてむしろ昔の方が華やかでした。半分都市伝説化しているので真偽の程は不明ですけど。

で、このテの話になると必ず出てくるのが

同人で儲けたかったら

人気作家の絵をパクって、流行ジャンルで、エロ本作ればいい



とお約束の様に言われます。最早様式美です。
同人活動をした事の無い人の方が言っていそうですが、案外現役の同人作家さんでもこういう風に思っていたり言っている人は多いです。
自分の本がイマイチ売れないのは流行ジャンルじゃなく流行りカップリングじゃなくエロホモやってないから!売れるのが目的じゃないのよ好きだからやっているのよだから流行ジャンルなんかやらないの!エロなんて作品に愛が無い輩のやる事よ!と呪詛レベルで呟いているイメージです(うへぇ)。


実際、こういうノリで本を作っている人もいるでしょう。
そしてそういう人を非難しているのも見かけます。上の方のテキストみたいに

パクって、流行ジャンルで、エロ本作ったってそうそう儲かる訳がない


と言われます。それは、ある一面から見れば真実です。
人気作家の絵をパクるにも技術が必要です。仮にトレスをするにしてもトレス元の画像を用意しないといけませんし、トレスにも技術は必要。絵心の無い人がどんなに時間を掛けて頑張っても、上からなぞっても同じ絵は簡単には描けませんよ。
トレスして同じ絵が描けても逆にトレス元の絵が判りやすくなるので、あっと言う間にトレスパクリがバレて叩かれます。(叩かれても売れて儲かればいいやー思っている方は止めませんが。オリジナルの商業でも活動されている作家さんからトレスすると運が悪ければ訴えられる可能性を忘れないでくださいねー)
ようやく絵が描けたとして、パクリ元の作家さんと同じジャンルで同人誌を作るのは無謀です。パクリ元よりも巧く描けていればもしや、という事もありますが精々「劣化トレス乙」と言われて終了です。…ならば別のジャンルで、となった時のジャンル選択が難しい。流行ジャンルだからと言ってただ作れば売れるとは限らない。今のコミケでは事前の宣伝活動が無ければ例え神クラスの作画を誇る流行ジャンルの本でも埋没します。
エロ本なら何でも売れるでしょ!これも一概には言えないのです。これは細かな話になるので省略しますが、ジャンルによってはエロじゃない方が売れる事もあるのです。

そして何より、個々の「儲かったと言っていい金額」にズレがあるので話が平行線です。
上のテキストでは「コミケ参加サークル中、年間20万利益の出ている所は僅か5%」と書かれています。
マイナージャンルでコツコツやってる人にとっては純利益20万なんて途方もない金額でしょう。大して流行ジャンルを渡り歩いてイベント売り以外に書店売りも手広くやってる人にとっては充分手の届く金額でしょう。
ちなみに私個人としては「年間20万」なんて儲けのうちに入りません。
20万も利益出てませんけどね!「手元に残らないお金」なんて無いのと同じです。
20万という額に対しての感覚は「まぁ印刷費が回収出来て良かったね、でもスペース代や会場までの交通費を考えたらやっぱり赤字だわ」といった感じです。実際地方在住なので年間20万ではスペース代と交通費(日程によっては宿泊費)でバッチリ赤字です。
儲けというからには同人活動費用全額まかなった残りで他に職を持たなくても生活出来るくらいのイメージですね。(専業になるならないは別として)専業同人できるレベル=儲かってるイメージ。
せめて年間7桁は純利益上がって「儲け」と言いたい。それでも月換算すれば言う程大した額でもありません。まさに「同人で儲けるくらいならコンビニバイトの方がよっぽど儲かる」です。

(まぁそんな感じですから、大手でも専業同人さんよりも圧倒的に兼業同人さんの方が多いのも頷けます。「副業」と考えれば悪くないです。本業の上に原稿を描く時間と労力を搾り出すのは大変ですが、定期収入とは別に年2回コミケで7桁のボーナスが転がり込んで来ると思えば頑張れる、かもしれません。不況ですし。いやー生々しい!)

(※副業でもちゃんと確定申告しましょうね。/脱線)



後、現在同人作家やってる人にとっての儲けイメージは「年間20万」なのに対して外部から同人って儲かるんだって?と興味津々でネタにする人の儲けイメージは「年間ン百万~」なんじゃないかな、と。ここでも金額にズレがある。
少なくとも現役同人作家が「同人って儲かる」と外部の人が話題にしているのを聞いた時に「コイツ同人でいきなりン百万儲かるとか勘違いしてそうだ馬鹿じゃねーの」と思っている気がします。そして意見が食い違う。




で、結局「人気作家の絵をパクって、流行ジャンルで、エロ本」は儲かるのかよ儲からないのかよ!

…という話になるのですが、「儲かるともいえるし儲からないともいえます」。
「儲け」でイメージする金額に違いがあるとのが前提にあって、その上で。
無闇に「ただ儲かるらしいから作るか」ではなく、「年間幾らの儲けが欲しいから1年でどんな本を何部作ってどう売ればいいか」と考える事が出来れば、可能性はゼロではありません。
今までこの手の話に欠けていたのは正に「マーケティング」の部分だったと思います。

そもそも「同人誌で儲けてはいけない(パロディに限る)」という暗黙のルールがある業界で「マーケティング」なんて口が裂けても言えない様な空気もあったのかもしれません。ですが、皆こういう事をそれなりにやっているのです。やってない人は今からでもやればいいと思います。

「儲けを出すため」のマーケティングと考えない。

「自分の作った本を読んで貰いたい層に出来るだけ確実に、多く読んでもらうため」のマーケティングだと考える。それに結果として売上=儲けが出るだけの話です。

そういう点では
同人誌1トンを刷った経緯と部数決定のプロセス - ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

は、本当に秀逸なテキストだと思います。マイナージャンルの小部数サークルさんでも参考に出来る事があると思います。「読んでもらうための努力」は本のクオリティを上げる以外にも、沢山ありますよ。


そんな同人活動、ただの商売じゃないか!

そうかもしれませんね。
過度の儲け主義はコミケ理念にも反しますし。
儲けるために「流行の絵柄で」「流行ジャンル」「エロ」を描く、というのは「自分が描きたい!と思っているものが無い」とも言えます。
大抵の同人作家さんは「自分の好きなもの、描きたいものがあってそれを描く」人達ですので、売れるものなら何でも描くというのは「商売」に近いと思います。
(まぁ「今コレ流行っているからコレを描く」的に作る本のジャンルを決める作家さんも多いですが/男性向けに比較的多い気が/ただ男性女性問わず、一切興味も無いのに描くという人はやはり少数派だと感じます)

ただ、コミケは「正式な手続きを踏んでサークル参加申込をし、スペースを取り、当日頒布物として自主制作物(本以外のサークルもありますね)を見本提出、頒布許可が出て頒布する」事が出来れば基本的に何のお咎めも無いと思うのです。

失礼な話、愛はあるといいつつスペースには毎回新刊がない、あってもやっつけコピー誌しかないサークルと、同人で稼いで生活してます!だから毎回新刊数冊がっつり作ってます!なサークルだと、後者の方が「サークルとしてちゃんと活動している」様に見えますよね。原動力が愛か金かとか言われても…あまりにも愛に対して結果の出せないサークルこそ、その愛を疑います。

マスコミの「エロ」「儲かる」記事を読んで「儲かるならやってみるか!」と同人誌作って見たらいいんです。大体、あの手の記事を読んで「よしオレも」なんて人めったにいませんから、実行に移す人がいたらそれだけでも凄いね思い切ったね!と感心します。煽り抜きで。

やってみて夢破れてもいいですし、労力の割りに旨味が少ないと感じたら直ぐやめたらいいんです。そして思った以上に儲かったら良かったですね!と思います。多分、元々絵心があってマーケティング感覚があったのでしょうね。儲かる=売れる、という事は、多くの人が完成した本を見て「この本はイイ!」と評価してお金を払ってくれた証でもあるのですから、同人誌を作る動機が「儲けたい」でもいいと思います。その評価に対して堂々と胸を張っていいはずです。

(宣伝効果とかもあるかもしれませんが…それだっていくら宣伝したってつまらなさそうな本だったら買いませんし。巧い宣伝に騙された人のお陰で最初は儲かっても、次第に同じ手は使えなくなってきますし)


コミケには、色んな思いがあって夢がある。
ルールを守ればどんな思いも許容してくれる懐がある。

それがいい。そんなコミケだから全参加者に愛されてきたんだと思いたい。







…なっげぇ!!!(汗)
もうちょっと書き残しておきたい事があったのですが、ここまでで一旦終了。






【追加:2009/9/4 PM11:10】

超完璧なサイトさんがあったのでブクマ。
夏コミ以降の「今後のコミケについて」「同人誌って儲かるの?」「同人誌はャラパクエロ漫画?」関連のブログ・サイトテキストが一覧可能。こんなにあったんだー。「マナー低下&一般参加者の低年齢化」は自テリトリージャンルではないので他所様のテキストを拝見するだけに留めております。

A@ さん(DATE: 2009.09.04)





【関連エントリ】

今思い出したんだけど
同人誌1冊作って儲けるのとコンビニバイト、どっちが割がイイか考えてみよー☆

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田舎在住、旧時代のオタク。
コロナでアクティブオタクを続けていく事を半ば諦めかけていた所に、遂に家族の介護イベント発生。生き残りたい。
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